近藤製作所さんの工房を訪ねて
forumオリジナルの鉄フライパンができるまで

新潟・三条で鍛冶の仕事を続ける近藤製作所さんにお願いし、forumオリジナルの鉄フライパンをつくっていただきました。
近藤製作所さんは、鍋や包丁、鍬など、暮らしや仕事に必要な鉄の道具を作ってきた野鍛冶の流れを受け継ぐ作り手です。
使う人の声を聞き、その暮らしに合う道具を形にしていく。
そうしたものづくりの考え方に、forumで道具を紹介していくうえで大切にしたいことと近いものを感じました。
今回お願いしたのは、鉄の良さを持ちながら、今の暮らしにも取り入れやすいフライパンです。

今回は、その制作現場を訪ね、鉄の板が一枚のフライパンになるまでの工程を見せていただきました。
鉄がどのように形になり、どのように仕上げられ、どのように使う道具として整えられていくのか。
鉄の板から、暮らしの道具へ
鉄を叩き、形をつくる。
持ち手を取り付ける。
溶接し、表面を整え、ブラシをかける。
そして最後に、油をなじませて仕上げていく。
一見すると、黒くて無骨な鉄フライパンですが、その形になるまでには、いくつもの工程と細かな判断があります。
火の入り方。
厚み。
重さ。
持ちやすさ。
表面の仕上げ。
油のなじみ方。
毎日の台所で使う道具だからこそ、ただ丈夫であればいいわけではありません。
焼く、炒める、温める。
日々の料理の中で無理なく使えて、使うほどに少しずつ馴染んでいく。
そんな一枚になるように、近藤製作所さんの手仕事で形にしていただきました。
厚すぎず、薄すぎず。1.6mmという厚み

鉄のフライパンは、厚みがあるほど熱をしっかり蓄えることができます。
肉や野菜を入れた時にも温度が下がりにくく、焼き目もつきやすい。
一方で、厚くなればなるほど重くなり、日々の料理では手に取りにくくなってしまいます。
反対に、薄ければ軽くて扱いやすい。

けれど、熱を蓄える力は弱くなり、食材を入れた時に温度が下がりやすくなります。
そのちょうどよいところとして考えたのが、1.6mmという厚みです。
特別な料理のためだけではなく、日々の台所で使い続けられる鉄フライパンを目指しました。
手打ちの跡が、油なじみにつながる
近藤製作所さんの鉄フライパンは、一点一点、手で叩いて形づくられています。

表面には叩いた跡や、わずかな凹凸があります。
それは単なる傷ではなく、手仕事の表情です。
そして、その凹凸は油が少しずつなじんでいくためのきっかけにもなります。
きれいで均一な工業製品とは違い、一枚一枚に表情がある。
その表情ごと、道具として育っていくのがこのフライパンの面白さです。


以前から印象に残っていた、油なじみの話
以前、三条を訪ねた際に、近藤製作所さんへ立ち寄らせていただいたことがありました。
その時に印象に残っていたのが、鉄フライパンの油なじみについての話です。
鉄フライパンは、買った時が完成ではありません。
油を塗り、熱を入れ、冷めていく。
その繰り返しの中で、少しずつ鉄の表面に油がなじみ、くっつきにくく育っていきます。
最初から完璧に仕上がっている道具というより、使う人の台所で完成していく道具。
焦げついたり、うまく焼けなかったりする日もあるかもしれません。
でも、それも失敗というより、道具との付き合い方を覚えていく途中。
自分で使い、自分で手入れし、少しずつ扱いやすくなっていく。
その余白が、鉄フライパンのおもしろさなのだと思います。
今回、実際に制作工程を見せていただき、その時に聞いた「育てていく道具」という感覚が、よりはっきり伝わってきました。

使い始めやすく、育てていけるように
鉄フライパンは、最初の油ならしが難しそう、と思われることがあります。
このフライパンは、食用油で防錆加工をしているため、ご購入後の本格的なシーズニングは不要です。

水で軽く洗ってから、すぐに使い始めていただけます。
強火ではなく、中火で十分
使い方についても、教えていただきました。
鉄フライパンというと、強火でしっかり熱するもの、と思われるかもしれません。
けれど、実際には中火で十分。
鉄は熱が入りやすく、高温になりやすい素材です。
大切なのは、強火で急いで熱することではなく、調理前にきちんと温めてから食材を入れること。

食材を入れると、フライパンの温度は一度下がります。
だから、最初にしっかり温めておく。
ただし、強火で熱しすぎたり、熱い状態で急に水をかけたりすると、歪みや油膜の傷みにつながることがあります。
少し気を配りながら使うことで、長く付き合える道具になります。
焦げついても、また整えられる
使っているうちに、焦げついたり、こびりついたりすることもあります。
そんな時は、無理に強くこすりすぎないこと。
水やお湯を入れて火にかけ、少しふやかしてから落とすと、汚れが取れやすくなります。
せっかくなじんできた油の膜まで落としてしまわないように、様子を見ながら手入れする。
鉄フライパンは、失敗しないための道具というより、使いながら整えていける道具です。
焦げたら終わりではなく、また手を入れればいい。
そのおおらかさも、鉄の道具らしさだと思います。
使うほどに、自分の道具になる

包丁のように、使った瞬間に「よく切れる」とわかる道具もあります。
でも、鉄フライパンの良さは、もう少しゆっくりです。
何度も火にかけ、油をなじませ、料理をして、洗って、また使う。
その繰り返しの中で、表面は少しずつ黒くなり、油が馴染み、新品の時よりも、使い込んだ姿に魅力が出てくる。
そんな近藤製作所さんの手仕事から生まれた、forumオリジナルの鉄フライパンです。
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