工場を訪ねてみました
新潟県燕市 一菱金属
conteのものづくりを訪ねて

新潟県燕市にある、一菱金属の工場を見学してきました。
一菱金属は、台所道具のブランド「conte(コンテ)」を手がける金属加工メーカーです。
フォルムでも、conteのボウル、ザル、バット、トングなどを扱っています。
conteの道具は、見た目に強い主張があるものではありません。
むしろ台所に自然になじむ道具です。
けれど実際に使ってみると、洗いやすい、重なりがいい、持った時に無理がない、しまいやすい。
毎日の台所で繰り返し使う中で、その良さに少しずつ気づきます。
今回、実際に工場で江口さんのお話を伺い、その使いやすさは偶然ではなく、いくつもの工程と判断の積み重ねでできているのだと感じました。

中に入ると、conteの道具や、これまで作られてきた製品、加工の工程が見られる空間が広がっていました。

ステンレスの板が道具になるまで
最初に見せていただいたのは、ステンレスの板が道具の形になっていく工程です。

平らな板を必要な形に抜き、プレスで押し伸ばし、少しずつ立体にしていく。
どの形に抜くのか。
どこを押さえるのか。
どの方向に金属を伸ばすのか。
一度に深くするのか。
何度かに分けて絞るのか。
その一つひとつの判断で、仕上がりが変わります。

江口さんのお話で印象的だったのは、早く作ることだけを優先しているのではなく、道具として使いやすくなるように工程を選んでいる、ということでした。
一度で深く絞れば早くできる場合もあります。
でもそれでは、口の形、深さ、安定感、目盛りの見やすさ、注ぎやすさなどに影響が出ることがある。
だから、あえて工程を分ける。
一度形を作り、さらに必要なところを伸ばす。
加工の順番を考えながら、最終的な使いやすさに近づけていく。
使う時、洗う時、しまう時。
手に取った時の感じ。
台所で何度も繰り返される小さな動作。
そうしたところまで考えた結果として、conteの形があるのだと感じました。
見えないところにある使いやすさ
金属は、加工すると硬くなったり、割れやすくなったりします。
板を押し伸ばす。
深く絞る。
フチを整える。
口を作る。
目盛りを入れる。
そうした加工を重ねるうちに、素材の状態は少しずつ変わっていきます。

江口さんは、加工によって硬くなった金属を、次の工程に進めるために熱処理する話もしてくださいました。
熱を加え、金属の状態を整え、次の加工がしやすい状態に戻す。
完成した商品からは、その工程はほとんど見えませんがそこで素材の状態を整えているからこそ、その後の加工がきれいに入り、道具としての形が整っていく。

まだ最終の形ではないけれど、ここからさらに整えられ、磨かれ、手に取りやすい道具になっていきます。
研磨、洗浄、溶接。ひとつの道具に何度も手が入る
工場の中では、プレスだけでなく、研磨や洗浄の工程についてもお話を伺いました。
加工の途中で油がつく。
研磨材が残っている。
溶接の前にきれいにする必要がある。
次の工程に進むために、一度洗浄する必要がある。
つまり洗浄は、最後の仕上げだけではなく、ものづくりの途中にも何度も関わっている工程です。

研磨も同じです。
見た目を美しくするためだけではなく、角を整え、手触りを整え、次の加工につなげるための役割があります。
ステンレスの道具は、素材としては無機質だが、たくさんの人の手と判断を通して、台所で使える道具になっている。
そこが、とても面白いところでした。
ひとつの工場だけで完結しない、燕のものづくり
燕のものづくりは、ひとつの工場の中だけですべてが完結するものではありません。
プレスが得意なところ。
研磨が得意なところ。
熱処理を専門にするところ。
溶接の技術を持つところ。
仕上げを担うところ。
それぞれの専門技術が地域の中にあり、必要な工程ごとに道具が渡っていく。
工場から工場へ、職人から職人へ。
そうやって、ひとつの道具が少しずつ完成に近づいていきます。

この地域のものづくりは「一社だけの技術」ではなく、地域全体に積み重なっている技術の上に成り立っているのだと感じました。
もちろん、一菱金属の中にも、プレス、試作、洗浄など、一通り確認できる環境があります。
江口さんは、試作ができること、生産に移した時にどこに注意すればよいか気づけることの大切さについても話されていました。
自分たちで一度やってみる。
その上で、必要に応じて専門の加工屋さんにお願いする。
ただ丸投げするのではなく、どこに注意が必要なのかを分かった上で、地域の技術とつないでいく。
conteの道具が静かに感じる理由
毎日の台所道具は、目立ちすぎなくていい。
けれど、使うたびに小さなストレスがあると、少しずつ気になってくる。
洗いにくい。
重ねにくい。
持ちにくい。
置きにくい。
注ぎにくい。
乾きにくい。
そうした小さな不便が少ないことは、毎日使う道具にとってとても大切です。

conteの道具は、そういう部分を静かに整えているように感じます。

forumとして伝えたいこと
暮らしと道具 forumでは、商品をただ並べるだけではなく、できるだけその背景も一緒に伝えていきたいと思っています。
どんな場所で作られているのか。
なぜこの形なのか。
どんなところに使いやすさがあるのか。
今回、一菱金属の工場を見学して、conteの道具は、そうした背景を知ることでより魅力が伝わる道具だと感じました。
今回見てきたこと、聞いてきたことを、これからの商品紹介にも少しずつ反映していきたいと思います。
店頭では実際に手に取って、オンラインでは写真や説明とあわせてご覧ください。
関連商品
この記事で紹介しているconteの道具は、forumオンラインストアでご覧いただけます。
まかないシリーズ (ボウル・平ザル・丸バット)
こします (小・大)
やくさじ (5ml・15ml)
おてがる薬味トング 130 / 150
おてがる料理トング 175 / 220